本文へスキップ

じんじ屋エールは自由設計が基本コンセプト。

じんじ屋エール

since1995

ちょっと変わった賃金設計

メールマガジン『人事おたすけ隊』vol.113〜vol.114に掲載した内容です。

   −目次−

はじめての賃金制度
ちょっと変わった賃金設計


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ★隊員の出動記録  其の壱百壱拾参【はじめての賃金制度】

     〓今回登場する隊員プロフィール〓
  
 (-.-)y-~ ハゲット [ギャグは寒いし頭も寒い]
 (´ヘ`) シャチョーさん


 ■今日のポイント■--------------------------------------------------

    ☆賃金表はなぜ必要か
    ☆複数で構成する基本給とは

 --------------------------------------------------------------------

 ジリリリ〜ン♪ 電話の音がけたたましく鳴り響いた。
 またまた出動要請の電話がかかってきたらしい。   
 
 (-.-)y-~が電話を受け取ると・・・

 「初めて賃金制度なるものを作ってみたいのだが、何が何やらさっぱり」と
 いう相談であった。

 見栄っぱり集団である「人事おたすけ隊」にとっては、この程度のことは朝
 飯前である。


 ▼(-.-)y-~
 賃金制度を導入したいのですね。

 ▼(´ヘ`)
 はい、今まで賃金はすべて私の判断で決めてましたが、やはりそれでは良く
 ないと思うんですよぉ。

 ▼(-.-)y-~
 そうですね。
 社員の方々にとって、自分の賃金がどうやって決められているのか分からな
 いのは不安であり、不満であると思いますよ。

 ところで、賃金表は作っているのですか?
 もちろん社員には公表していないと思いますけど。

 ▼(´ヘ`)
 家族手当と役職手当は、一応メモ書き程度のものを作っています。

 ▼(-.-)y-~
 基本給の賃金表は?

 ▼(´ヘ`)
 なにそれ?
 基本給に賃金表なんてありませんよ。

 ▼(-.-)y-~
 ふ〜ん、それでは昇給はどうしてます?

 ▼(´ヘ`)
 毎年5000円〜10000円の昇給をしています。
 社員によって額は違いますけどね。私の(感覚的な)評価で決まります。

 ▼(-.-)y-~
 昇給は毎年ですか?

 ▼(´ヘ`)
 あっ、いや、しない年もあるかな。

 ▼(-.-)y-~
 しない年もあるんですか。
 その年の賃金は、たぶんベースダウンになりますね。

 ▼(´ヘ`)
 えっ?

 ▼(-.-)y-~
 賃金表を作れば分かると思いますが、通常は毎年の昇給が発生します。
 昇給額とベースアップ額を合わせたものが賃上げ額になるのですよ。
 シャチョーさんの会社では、今まで「賃上げ=昇給」という考えでしたね?

 ▼(´ヘ`)
 うんうんうん、そうそうそう。

 ▼(-.-)y-~
 昇給額は、通常プラスの金額になります。
 だから賃上げ額がゼロだとベースダウンになってしまうのです。
 もし平均3000円の昇給があるのに賃上げ額がゼロだと3000円のベースダウン
 になります。

 ▼(´ヘ`)
 な〜るほど。

 ▼(-.-)y-~
 新しく作る賃金制度では、賃金表を作成します。
 賃金表があれば昇給とベースアップを分けて管理することができますよ。

 ▼(´ヘ`)
 そりゃあいいな。

 ▼(-.-)y-~
 それと、基本給を複数で構成することがあります。

 ▼(´ヘ`)
 えっ?、手当ならいくつかあるけど、基本給が沢山あるってのはイメージわ
 きませんなぁ。

 ▼(-.-)y-~
 例えば「年齢給」と「職能給」、あるいは「年齢給」と「職務給」のような
 組み合せがメジャーですね。

 ▼(´ヘ`)
 そんなの目じゃぁありませんなぁ。

 ▼(-.-)y-~
 なんか話がメジャメジャなんですけど。

 ▼(´ヘ`)
 じょーだんですよ、じょーだん。

 ▼(-.-)y-~
 では、「年齢給」と「職能給」という2つで構成する基本給にする場合、ど
 んな点に注意したらいいと思いますか?

 ▼(´ヘ`)
 はぁ?何のことやらさっぱり。

 ▼(-.-)y-~
 それでは、年齢給と職能給について説明しましょう。
 えーと、年齢給は「年齢」に応じて定める賃金です。

 ▼(´ヘ`)
 それくらい感覚的に分かりますよ。
 20歳の社員が10万円なら、40歳の社員は15万円のように定めるのでしょう?

 ▼(-.-)y-~
 まあ、そんなとこです。
 それでは60歳の社員だったら?

 ▼(´ヘ`)
 20万円位になるのかなぁ。

 ▼(-.-)y-~
 ノー!普通はちょっと違う設定をします。
 年齢給は、社員の生活設計を考慮して設計します。だから「生活給」という
 名称で呼ぶこともあるのですよ。

 ▼(´ヘ`)
 ってことは、20万円じゃあ高すぎる?

 ▼(-.-)y-~
 はい。60歳といえば、一般的に子育てを過ぎた年代ですよね。

 ▼(´ヘ`)
 もう孫がいる人も多いよね。

 ▼(-.-)y-~
 そう考えると、子育ての世代に当たる40歳の社員よりも少なくていいと思い
 ませんか?

 ▼(´ヘ`)
 そうだな。子供に金がかからないから、もっと下げてもいいわけだ。

 ▼(-.-)y-~
 それでは職能給はどうでしょうか。
 これは等級別に定める賃金で、等級が上がるほど社内でのステータスは高く
 なります。

 例えば1等級から始まって、最高を6等級にしてみましょう。
 「20歳で1等級の社員」「4等級で40歳の社員」と「6等級で60歳の社員」
 の賃金は、それぞれどのようになると思いますか?

 ▼(´ヘ`)
 たいてい年配者は高い等級になるよな。
 そうすると・・・1等級から4等級位まではどんどん上がっていくわな。
 でも5〜6等級は下げていくんだろ?

 ▼(-.-)y-~
 ノー!年齢給とは違うんですよ。頭を切り替えてくださいね。
 本来、等級制度とは、社員のレベルに応じて高い等級に格づける仕組みです。
 年齢とはリンクしませんよ。

 ▼(´ヘ`)
 なら、どうやって決めるのですか?

 ▼(-.-)y-~
 人事評価です(それだけではないけど)。
 新しく賃金制度を作るためには、評価制度も一緒に作らなければあまり意味
 がありません。シャチョーさんの「感覚的な評価」をもっと具体的に定めて
 みましょうよ。

 早い話、トータル人事制度を作る必要があるってことです。

 ▼(´ヘ`)
 そうか、けっこう大変そうですね。

 ▼(-.-)y-~
 ツボさえ外さなければ、そんなに難しく考えることはありませんよ。
 社員のモチベーションが高まれば、会社の業績がもっともっとアップします。
 それが人事制度を導入する目的ですから。 

 ▼(´ヘ`)
 会社の業績かぁ。
 もっとアップアップしなけりゃいいがな。

 ▼(-.-)y-~
 何つまんないこと言ってんですか!
 ニラメッコしちゃいますよ!?


 人の問題は、こうすれば100%解決できるというものは少ない。
 しかし、トラブルを回避する術は必ずどこかに存在するものである。そのよ
 うな問題を処理するために、人事おたすけ隊は今日もどこかで出動している。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ★隊員の出動記録  其の壱百壱拾四【ちょっと変わった賃金設計】

     〓今回登場する隊員プロフィール〓
  
 (-.-)y-~ ハゲット [ギャグは寒いし頭も寒い]
 (´ヘ`) シャチョーさん


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ▼前回のあらすじ▲
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 初めて賃金制度を作ろうとしているシャチョーさんが登場。
 「賃金表の必要性」と「複数で構成する基本給」についてお話をしました。 

 本日は、また別のシャチョーさんからのご相談です。


 ■今日のポイント■--------------------------------------------------

    ☆賞与は支給していない。
       給与で業績を反映したい。
         そんな賃金設計の方法は?

 --------------------------------------------------------------------

 ジリリリ〜ン♪ 電話の音がけたたましく鳴り響いた。
 またまた出動要請の電話がかかってきたらしい。   
 
 (-.-)y-~が電話を受け取ると・・・

 「社員の賃金を会社全体の業績にリンクさせ、かつ個人業績も重視したい」
 という相談であった。

 見栄っぱり集団である「人事おたすけ隊」にとっては、この程度のことは朝
 飯前である。


 ▼(-.-)y-~
 賃金を「会社全体の業績」にリンクさせたいのですね?

 ▼(´ヘ`)
 はい。こういう言い方はよくないと思いますが、ぶっちゃけ賃金って最大の
 コストじゃないですか。それを何とか変動費化したいと考えているんです。

 ▼(-.-)y-~
 なるほど。
 それでは「賞与」の予算を変動費化したらどうですか?

 ▼(´ヘ`)
 やはり「賞与」ですか・・・。

 ▼(-.-)y-~
 しょうよ、それが一番簡単です。
 月々支払う給与は、通常は固定賃金として考えます。

 ▼(´ヘ`)
 我が社の月例給与はコテコテです。

 ▼(-.-)y-~
 そりゃあ羨ましい。

 ▼(´ヘ`)
 私も(対抗して)ただのギャグ言ってみただけです。

 ▼(-.-)y-~
 [なんじゃそりゃ!つまんねえゾ]
 ハハハッ、シャチョーさんもなかなかやりますなぁ。

 ようするに「賞与」なら会社の業績が良ければ沢山支給し、逆に業績が悪い
 ときは少しか支給しないという変動費化がやり易いでしょうよ。

 ▼(´ヘ`)
 そりゃあ、おっしゃるとおりですな。

 ▼(-.-)y-~
 個人業績を重視する場合にも「賞与」なら後に持ち越すことはありません。

 前回は100万円支給されたけど、今回は50万円だった、それでも社員は納得
 してくれます。そういう仕組みだと社員に理解してもらう必要はありますけ
 どね。

 ▼(´ヘ`)
 会社業績で賞与予算が決定され、それをもとに個人業績に応じて配分するわ
 けですな。

 ▼(-.-)y-~
 月々の給与で変動させるのは、営業職はまだしも事務職などでは難しいです
 からね。ここは「賞与」の活用方法を見直すことを提案します。

 はい、おしまい!

 ▼(´ヘ`)
 でも・・・うちの会社は「賞与」がないんです。

 ▼(-.-)y-~
 えっ?

 ▼(´ヘ`)
 だからぁ、「賞与」は支給してないんだってば。
 そんな余裕はないのですよ。 

 ▼(-.-)y-~
 よーゆうわ。
 シャチョーさん、ベンツ乗ってるじゃないですか。

 ▼(´ヘ`)
 まあ、それは置いといて。
 月々の給与で変動させる方法を考えてくださいよ。

 ▼(-.-)y-~
 [ありゃりゃ、話を置かれちゃったよ]
 方法はないこともありませんが・・・。
 
 ▼(´ヘ`)
 それは、ちゃんと等級制度に基づいてやれる方法なんですか?
 等級制度は絶対に導入したいのです。

 ▼(-.-)y-~
 大丈夫、等級制度に基づく賃金制度は基本ですからね。
 そこは外しませんよ。
 えーーーと、賃金表は「段階号俸表」で設計してみましょう。

 ▼(´ヘ`)
 えっ、段階号俸表ですか?
 それって評価が累積する賃金表だからマズイと思うけど。

 ▼(-.-)y-~
 不味ければ、美味しくなるように工夫すればいいのですよ。
 同一等級内での号俸は、半期ごとにクリアして再設定する方法を採ります。

 ▼(´ヘ`)
 へぇ〜、そんなことできるんですか。。。
 それって複数賃率表みたいですね。

 --------------------------------------------------------------------
 段階号俸表は、評価結果で定まる号数を前年の号俸に加えていきます。
 例えば、前年が3等級10号の場合、今年3号UPすると3等級13号になります。

 複数賃率表は、洗替方式と呼ばれています。原則として昇給時に1号あがり、
 同一号俸の中に評価結果に応じてプラスマイナスの金額設定をします。
 --------------------------------------------------------------------

 ▼(-.-)y-~
 既成概念にとらわれてはいけません。
 賃金の設計方法は、法律で決まってるわけではありませんから、もっとフレ
 キシブルに考えて良いのですよ。

 ▼(´ヘ`)
 なるほどねー。

 ▼(-.-)y-~
 賞与は一般的に半期毎に支給しますから、号俸をそれに合わせて半期で見直
 しましょう。歩合給ではないので毎月変動させる必要はありません。

 ▼(´ヘ`)
 号俸決定を評価で決めるのは分かるのですが、具体的にどんな方法にしたら
 いいでしょうかねぇ。

 ▼(-.-)y-~
 5〜9段階(例:7段階SABCDEF)程度の総合評価に使う評語と同数以上の号俸
 を設定します。号俸数は、評語数の10倍程度を設定しておくと良いでしょう。

 予算がタップリある半年間は昇号数を多くして、予算が少ない半年間はカス
 カスの昇号数でガマンしてもらいます。

 ▼(´ヘ`)
 ほう、それならベースアップも昇号数の調整で出来てしまいますね。

 ▼(-.-)y-~
 おおっと、それだけはやらないでくださいね。
 いつか詳しく説明しますが、賃金制度が壊れてしまいますから。

 ▼(´ヘ`)
 [気になるから早く教えて欲しいよー]
 そうそう、各評語間の金額差が5000円とすると、評価の良い社員と悪い社員
 では毎月3万円位の差がつきますね。けっこう大きいなぁ。

 ▼(-.-)y-~
 でも、それを半期の賞与による差と考えると、1回の賞与の差が18万円です
 よ。バリバリ成果主義の会社と比べたら大したことはありません。
 もっとも、予算がタップリある場合は相当な差がつきますが。

 ▼(´ヘ`)
 あのぅ、評価点をそのまま利用して号俸決定はできませんか?

 ▼(-.-)y-~
 あまりお薦めはしませんが、点数をそのまま利用することもできますよ。
 ルールを定めてください。
 --------------------------------------------------------------------
 以下は評語に合わせて区分を設けた例です。
 5段階 〜30・〜50・〜70・〜90・90〜
 7段階 〜25・〜35・〜50・〜65・〜80・〜90・90〜
 9段階 〜20・〜30・〜40・〜50・〜60・〜70・〜80・〜90・90〜
 --------------------------------------------------------------------

 ▼(´ヘ`)
 そうか、そうか!
 7段階だと25点未満は3号、35点未満は6号・・・90点以上は21号というよう
 に定まるんだな。
 もう少し増やしても大丈夫なら、それぞれ4号、8号、・・・28号になる。
 いろいろと考えて仕組み作りをすればいいのですね。

 ところで、段階号俸表は「職能給」で使うので、別の賃金項目で変動費化し
 たい場合はどうしたらいいですか?

 ▼(-.-)y-~
 例えば別の賃金項目に「業績給」という名称をつけて、それを変動費化する
 場合は、等級別・評語別にポイント等を設定しておき、半期の予算に応じた
 金額に変換したらいかがでしょう。

 ▼(´ヘ`)
 その「業績給」も基本給ですか?

 ▼(-.-)y-~
 そうです。
 基本給を「職能給」と「業績給」という複数の賃金項目で構成するのです。

 「業績給」はもともと賞与の代用ですから「職能給」とは異なる評価結果を
 利用します。その場合、評価要素のウエイト付けがポイントになりますヨ。


 人の問題は、こうすれば100%解決できるというものは少ない。
 しかし、トラブルを回避する術は必ずどこかに存在するものである。そのよ
 うな問題を処理するために、人事おたすけ隊は今日もどこかで出動している。



ナビゲーション

バナースペース