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じんじ屋エール

since1995

コンサルタント・エックスの思い出し話 賃金体系編

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 (-.-)y- コンサルタント・エックス
 (*^・^) ヒョウカさん
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−目次−

第1話 一番おどろいた事
第2話 新旧基本給の運用の違い
第3話 グラフの作成時間その1
第4話 自らに課したルール
第5話 採用時の給与の決め方
第6話 会社と社員を結ぶ架け橋
第7話 間違いだらけの残業手当その1
第8話 間違いだらけの残業手当その2
第9話 金体系を変更したら、アレレ
第10話 残業手当を含む○○手当の是非


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┃◆┃一番おどろいた事
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 (-.-)y- お久しぶりですね。
     最後にお別れをしてから、もう3年以上経ちますでしょうか。

 (*^・^) 誤解をまねく様な言い方はやめてください。
     ところで、今日から新シリーズがスタートですね。

 (-.-)y- そーなんです。
     私が主役です。

 (*^・^) メルマガ7年目にして初めての主役、おめでとうございます。
     新シリーズは「コンサルタント・エックスの思い出話」でしたよね。

 (-.-)y- 違います。「思い出し話」です。
     ヒョウカさんの質問に対して、思い出しながらお答えしますよ。

 (*^・^) [どっちでも変わらないと思うんだけど]
     えーーー、それでは質問です。
     プロコンサルタントになってから一番おどろいた事は何ですか?

 (-.-)y- しんくしんくしんく

 (*^・^) 何を泣いてるのですか?

 (-.-)y- 思い出そうとしてるんですっ!

 (*^・^) [コンサルタント・エックスさんもシャチョーと同じレベルね]
     はいはい。

 (-.-)y- ああ、やっと思い出しましたよ。
     あれは1991年頃、いまから18年ほど前のことです。

 (*^・^) 私がまだ幼少の頃ね。

 (-.-)y- 私はまだ駆け出しコンサルタントで、何をしたらいいのか右も左も
     わからなくて、同業者と一緒に毎月セミナーを開催していました。

 (*^・^) へぇ〜、セミナー嫌いなコンサルタント・エックスさんが毎月かぁ。
     そこでサプライズがあったのですね?

 (-.-)y- はい。
     私が賃金制度のセミナーをしたときのことです。

 (*^・^) ほう。

 (-.-)y- そして90分のセミナーが終了しました。

 (*^・^) えっ、終了しちゃったのですか?

 (-.-)y- はい、ここから先にサプライズが待っていたのです。
     最後に「なにかご質問ありますか?」というお約束の言葉を発した
     ところ、スゴイのが飛び出したのです。

 (*^・^) [わくわくしちゃうわ]
     それで、それで?

 (-.-)y- 社員30人ほどの会社の社長さんから、こんなご意見が。。。
     ------------------------------------------------------------
     わが社では15年位前に賃金制度を導入しました。
     職能給をメーンとする仕組みなのですが、長年(賃金表)を使ってい
     ると、みんな表の上限になってしまいました。
     これでは賃金表なんて無いほうが上手くいくと思いますが・・・
     ------------------------------------------------------------

 (*^・^) なんか、この社長さん変なこと言ってるわ。

 (-.-)y- ヒョウカさんもそう思いますか?

 (*^・^) 賃金表を長年使うとみんなが表の上限になるなんて・・・。
     そんなはずないもん!

 (-.-)y- この企業はね、ベースアップを一度もしたことがなかったのです。
     ベースアップ分は、昇給の号数を増やす形で運用してきたのです。
     当時は、これが私にとって最大のサプライズでした。     

 (*^・^) ベースアップ分は「賃金表の書き替え」をしないと賃金制度が壊れ
     てしまうのですよね。私も1度同じ失敗をしました。

     【参考】間違えた昇給

 (-.-)y- ああ、そんなコトもありましたね。

 (*^・^) でも、みんなが表の上限になったというのはオーバーじゃない?

 (-.-)y- 1980年代までは、どこの会社でも毎年それなりのベースアップがあ
     りましたから。
     この会社で賃金制度を導入した頃とその15年位後の賃金水準を比べ
     ると倍以上になっていたと思いますよ。

 (*^・^) そんなにー!?
     いまでは考えられないわね。

 (-.-)y- 土地とサラリーマンの給料は下がらないと信じていた時代ですから。

 (*^・^) でも、昇給とベースアップの考え方は、時代が変わっても同じなの
     かなぁ。

 (-.-)y- 基本同じです。
     ただ、今後はベースダウンもふつうに起こり得るかもしれませんね。
     (ベースダウンはベースアップをマイナスで行うだけのことです)

 (*^・^) このようなビックリ会社って、他にもあるのですか?

 (-.-)y- それが、小規模な会社を中心に、今でもけっこう目にするのですよ。
     そして、困ったことにほとんどの会社はそのコトに気づいていない
     のが現状です。

     声を大にして言いたいですね。

     『賃金制度が壊れちゃいますよーーー』


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┃◆┃新旧基本給の運用の違い
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

 (*^・^) コンサルタント・エックスさんは、他人が忘れてしまったことを思
     い出すこともできますか?

 (-.-)y- 神様じゃあるまいし、そんにことムリに決まってますよ。
     あっ、もしかしたらヒョウカさんのことかな。

 (*^・^) はい、そのときは完璧に理解したつもりだったのですが、時が経っ
     たらスッカラカーンと。

 (-.-)y- はぁ(ため息)
     それで、忘れてしまったこととは?

 (*^・^) 新旧の基本給では運用が異なるという話がありましたよね。
     それが、どういうことだったのかなーって。

 (-.-)y- ああ、その話ですか。
     新賃金体系に移行し、初めて「基本給表」で管理するケースですね。

 (*^・^) はい、そうです。
     思い出し話をよろしくお願いしまーす。

 (-.-)y- [何故こんなことまで思い出さなければいけないんだろう]
     まず、新賃金体系への移行で、手当は変更ナシとします。

 (*^・^) どうしてですか?

 (-.-)y- 忘れっぽいヒョウカさんのために、話を複雑にしないためです。

 (*^・^) [バカにするなー!]
     私、おバカだから。
     気を使っていただいて、ありがとうございます。

 (-.-)y- Aさんの基本給はこのように変わります。
     ------------------------------------------------------------ 
     【旧】基本給 300,000円
     ------------------------------------------------------------ 
     【新】職能給 120,000円
        年齢給 180,000円
     ------------------------------------------------------------ 

 (*^・^) 旧基本給は1つですが、新基本給は2つで構成されています。
     でも2つの合計は一緒ですね。

 (-.-)y- はい、ヒョウカさんでも分かるように設定してみました。

 (*^・^) [なんかムカつく]
     思い出したわ!
     手当の変更があれば、新旧基本給の金額が異なることもありました
     よね?

 (-.-)y- はい、不必要な手当をカットした場合などは、それを基本給増額の
     原資としますから、新基本給は増額されます。

 (*^・^) 当時の記憶がよみがえってきたわ。
     たしか新旧基本給には『運用面』で大きな違いがあったような。

 (-.-)y- そう、たしかに違いがありました。
     旧基本給は、基本給表がありませんから昇給とベースアップの区分
     があいまいでした。いや、区分が無かったというほうが正解かな。     

 (*^・^) ようするに、社長が適当に決めちゃってたということですね。

 (-.-)y- けっして適当ではなかったとおもいますよ。
     ただ、客観的に見ると社長さんの独断による決定ですが。

 (*^・^) やっぱり適当だったのだわ。

 (-.-)y- たしかに、そのような企業では新基本給を導入した後、みんな「今
     までのやり方は間違っていた」とおっしゃいます。

 (*^・^) すべて『昇給』として処理していたからですね。

 (-.-)y- そうです。
     賃金表がないと、昇給とベースアップとを分けて処理することが非
     常に困難です。

 (*^・^) わが社では、昇給1万円の人がいる一方で、昇給ゼロの人もいたり。
     基本的には5千円単位で決めてたみたいです。ベースアップという
     言葉は聞いたことがありませんでした。

 (-.-)y- 基本給表を持たない、言いかえれば賃金制度が確立されてない場合
     は、ベースアップという考え方そのものを無視してしまってる企業
     が多いのですよ。大いに問題アリ状態です。

 (*^・^) たしか、そのことへの気づきを与える方法がありましたよね。

 (-.-)y- 新規学卒者の初任給を考えれば一目瞭然ですよ。

     【参考】賃金表が必要な理由(Yell博士の相談室 第8話)

 (*^・^) はしょったわね。


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┃◆┃グラフの作成時間その1
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 (*^・^) 今日の思い出し話は「なんでもと〜く」のお話でよかったのでは?

 (-.-)y- その話は新しすぎますし、それ以前に自虐ネタじゃないですか!!

 (*^・^) [前回の思い出し話も自虐ネタだったような気がするけど]
     それじゃあ、仕事でコンサルタント・エックスさんが苦労したこと
     について劇的に改善したお話があったら思い出してもらおっかなー。

 (-.-)y- そういう話なら、すぐに思い出せますよ。
     それはグラフです。

 (*^・^) グラフ?

 (-.-)y- はい、グラフを描くってすごく面倒なんですよ。
     一番最初に改善したかったのが「賃金診断のグラフ」です。
     何十種類ものグラフが必要になりますから。

 (*^・^) ボタンを押すだけで出来ると自慢していたアレですね?

 (-.-)y- [お勧めのアレとか言ってほしかったな]
     はい、データ登録しておけば、様々なグラフがそれぞれ数秒で作成
     できます。カメのようにゆっくり操作しても30秒はかかりません。
     ヒョウカさんのような人でも簡単にグラフを作ることができます。

     【参考】プロット図

 (*^・^) [くやしぃー、けど言い返す材料がないわ]
     以前は、どれくらいの時間がかかっていたのですか?

 (-.-)y- プロット図なんて方眼紙に色分けして描いていましたからね。
     人数にもよりますが1つのグラフを作るのに少なくとも数十分、社
     員や判例区分が多いものだと1つで半日かかっちゃいます。

 (*^・^) そんなにかかったのですか?

 (-.-)y- グラフを作るための前作業もありますから。
     例えば、役職別のプロット図を作る場合、役職ごとに色や形を変え
     ますね。データベース化されていないので、事前に表計算ソフトで
     データ整理を行います。当然その時間も加味しないといけません。

 (*^・^) ふ〜ん、大変だったのねぇ。
     そうすると、賃金診断のグラフ作成スピードは、百倍位にはアップ
     したということですか?

 (-.-)y- まあ、百倍も大袈裟ではありませんね。
     昔の人は目的地まで行くのに徒歩しか手段がありませんでしたが、
     今では新幹線や飛行機で行けるようになりました。それと同じくら
     いの劇的な改善(時間短縮)となりました。

 (*^・^) 表計算ソフトにもグラフ機能がついているようですけど、それでは
     ダメだったのですか?

 (-.-)y- 表計算ソフトでグラフ作成を試みたこともあるのですが、時間的に
     劇的な改善にはならなかったし、なによりグラフの見た目が悪すぎ
     たため利用する気にはなりませんでした。

 (*^・^) そこでグラフの専用ソフトを見つけに旅立ったのですね?

 (-.-)y- [別に旅に出てはいないのだが]
     理想的なグラフ専用ソフトを見つけましたよ。     
     あらかじめデータさえ登録しておけば、ボタンを押すだけでプログ
     ラムに組み込んだグラフ作成専用ソフトが良い仕事をしてくれます。
     とてもキレイで楽で、描き間違いもなくなりました。

 (*^・^) 良いこと尽くめですね。

 (-.-)y- 正にそうです。
     賃金診断では、データベース化したことによって、診断の前に必要
     なデータを登録しておけば、グラフだけでなく「表」もボタンを押
     すだけで作成できるようになり、診断全体が(時間的に)劇的な改善
     となったのですよ。

     【参考】賃金分布表

 (*^・^) グラフってすごいんですね。

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 じんじ屋エールの開発で、一番最初に手がけた部分が「賃金診断」でした。
 (もちろん、各種マスタや人事情報など基本部分はその前に作っています)
 色々なパーツで試行していたので、賃金診断が完成するまでに3年かかりま
 した。もしその時に、気に入ったグラフ作成専用ソフトを見つけることがで
 きなかったら、開発は暗礁に乗り上げてストップしていたかもしれません。
 そのくらいグラフというものを重要視していました。


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┃◆┃自らに課したルール
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 (*^・^) コンサルタント・エックスさんが自分に課しているルールにはどん
     なものがありますか?

 (-.-)y- んなこと、急に言われても。

 (*^・^) さあ、思い出してみよー!!

 (-.-)y- では、プライベートなことは置いといて、仕事に関することをお話
     します。例えば、1%ルールなんてものを設けいてます。

 (*^・^) なにそれー?

 (-.-)y- 新しい賃金制度を作ると、旧賃金から新賃金に切り替えますね。
     そのときに発生する差額が1%以内になるようにしています。

 (*^・^) 1%というと、お給料が30万円の人なら3000円ね。
     一見何とかなりそうな気がするけど、私は落とし穴を見つけちゃい
     ました。

 (-.-)y- ほう。

 (*^・^) それはね、この際だから賃金が異常に低かった人の底上げをしたい
     場合などは1%ルールが邪魔になってしまうわ。

 (-.-)y- たしかに、1人1人を見れば1%を越してしまう人もいます。
     でも対象者のトータルなら1%以内にすることは十分に可能です。

 (*^・^) なーんだ、トータルでの話かぁ。

 (-.-)y- [なんかムカつく]
     ルールというのは、必ず守れるものでなければなりませんから、あ
     まりハードルを高くしない方が良いのですよ。

 (*^・^) じゃあ、コンサルタント・エックスさんは、ぜったいに1%を超え
     ないと言い切れますか?

 (-.-)y- [今日はやたらつっこむなぁ]
     言い切れませんよ。

 (*^・^) 嘘つきっ!

 (-.-)y- [ひどい言われようだ]
     あのね、1%を超えないように設計したり、調整する方法はいくら
     でもあるんです。やれと言われたら0%にすることだって可能です。
     でも、それをクライアントが望まない場合もあるでしょう。

 (*^・^) そういうコトですか。
     たしかに、クライアントの要望を無視して1%ルールに固持するの
     もどうかと思うわ。

 (-.-)y- わかって頂けたようですね。

 (*^・^) では最後に、コンサルタント・エックスさんが一番大切にしている
     ルールって何なのですか?

 (-.-)y- それは、約束を守ることです。

 (*^・^) そういえばコンサルタント・エックスさんは約束したことを守らな
     いとウルサイですね。

 (-.-)y- [ウルサイとは失礼な]
     当たり前です。
     約束を守らないことは、一種の裏切り行為ですからね。

 (*^・^) 悪気はなくても?

 (-.-)y- そうです。
     できない約束なら、初めからしなければいいんです。
     そういう自分も、つい大風呂敷を広げてしまうことがありますけど。

 (*^・^) なにそれー。

 (-.-)y- もし、約束を守ることが困難な場合には、できるだけ相手に迷惑を
     かけずに済むような対応をしなければなりません。

 (*^・^) 例えば、どんなケースですか?

 (-.-)y- 特にスケジュールに関することには気を付けています。

 (*^・^) どんなに頑張っても期限までに間に合わないこともありますよね。
     もし私がその相手だったら、自分のスケジュールをメチャクチャに
     されちゃうと困るから・・・大迷惑だわ!

 (-.-)y- そのような場合、相手方は期限までにできると思ってるわけですか
     ら、できるだけ早めに現状と今後のスケジュールをお知らせします。
     そうすれば迷惑をかけるにしても最小限で済みますよね。

 (*^・^) 約束を守れそうもないときはホウ・レン・ソウが大事ってことかぁ。

 (-.-)y- ビジネスの基本です。


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┃◆┃採用時の給与の決め方
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 (*^・^) 中途採用者の給与の決め方って難しそうですね。

 (-.-)y- 給与の支払方法は、法律(労働基準法)で詳細に決められています
     が、給与額はわりと自由に決めることができます。

 (*^・^) そうなんだぁ。

 (-.-)y- でもね、給与額は、あまり法に縛られず自由に決められるだけに、
     いいかげんに決めると後で困ったことが起こりますよ。

 (*^・^) なら困らないように、事前にコンサルタント・エックスさんみたい
     な人に相談すればいいですよねー。

 (-.-)y- 大抵は困ったことが起きてしまってから相談を受けるのですが。

 (*^・^) あらあら。

 (-.-)y- それでは、賃金表の有無別に相談があった内容について、採用する
     時の「上手な給与の決め方」を考えてみましょう。


 (*^・^) じゃあ、最初は賃金表が有る企業から思い出してください。
     私の勤務先も、何年か前に賃金表で管理できるようになりましたし。

 (-.-)y- わかりました。
     ご相談を受けた企業では、賃金表があるのに中途採用者の格付(給
     与決定)基準があいまい、いや、基準がなかったのです。

 (*^・^) それでは採用するときに困ってしまうわね。

 (-.-)y- 採用の度に、その時の都合で決めてしまうと後で調整が大変です。
     一般的には、他社経験年数に一定の係数を乗じて「自社のみなし勤
     続年数」として置き換える形をとりますが、この方法はかなり年功
     的です。

 (*^・^) 何か他にもやり方があるのですか?

 (-.-)y- その企業に対しては、最初は先ほどの方法で仮格付とし、半年〜1
     年程度様子を見てから本格付をする方法を提案しました。
     もちろん、採用時に本格付の変更範囲を明確にしておかなければな
     りませんけど。

 (*^・^) 何か面倒ね。

 (-.-)y- 給与は、企業と従業員を結びつける最も重要なものですヨ。
     古参従業員も新規採用者もある程度納得できるような公平感のある
     仕組みでなければ、賃金表を作っても片手落ちというもんです。

 (*^・^) では、次は賃金表が無い企業の話を思い出してください。

 (-.-)y- えーと、えーと、何でしたっけ?

 (*^・^) [コンサルタント・エックスさんもモウロクしたわね]
     私に聞かないでくださいよ。

 (-.-)y- あっ、いま思い出しました。
     手取額の保証をしている企業があったのです。

 (*^・^) 手取額の保証?

 (-.-)y- はい、例えば手取額30万円という条件で採用することです。

 (*^・^) 何が問題なんだろう。
     賃金表がないことは問題としても、あとは分からないわ。

 (-.-)y- よーく考えてみてください。
     手取額を保証するということは、社会保険料・源泉税等を逆算して
     加えた金額が給与額になります。

 (*^・^) 分かったぁ。
     計算が面倒だわ。

 (-.-)y- それもありますが、この方法がなぜいけないかというと、社会保険
     料等が上がると自動的に給与がアップしてしまうからです。
     また、扶養家族の少ない人ほど有利(所得税が高いから)になるこ
     とは、やはり変でしょう。

 (*^・^) それは変ですぅ。
     家族手当を支給する企業もありますからね。
     
 (-.-)y- そんなわけで、私からの処方箋は、手取額を保証しない一般的な方
     法に変えることでした。


┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◆┃会社と社員を結ぶ架け橋
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

 (*^・^) 最近になって、私の勤務するような中小企業でも評価制度って大切
     なんだなー、ということが分かってきました。

 (-.-)y- そうですか。
     ヒョウカさんも成長しましたね。

 (*^・^) 評価制度って、会社と社員を結ぶ架け橋ですね。

 (-.-)y- そればどうかな。

 (*^・^) えっ、違うんですか?

 (-.-)y- いや、間違いではありませんが、私の経験だと、もっとつながりの
     強いものは、架け橋は「賃金制度」だと感じています。

 (*^・^) ふ〜ん、賃金のほうかぁ。
     お金を得るために働くのだから当然といえば当然ね。

 (-.-)y- もちろん、評価制度も含めたトータル人事制度がお勧めですけど。

 (*^・^) では、そこのところを思い出しちゃってください。

 (-.-)y- 業種業態にもよりますが、社員数30人位を境として、社員の賃金
     を「賃金表」によって管理する企業が目立って増えてきます。
     組織の中で社員個々の役割が明確になってくるのがこの位の規模に
     多いからしょう。

     ここでいう賃金表とは、基本給表・諸手当表を総称したものです。

 (*^・^) もっと小規模な場合は?

 (-.-)y- “諸手当表はあるのに基本給表はない”という摩訶不思議な状態に
     ある場合がけっこう見受けられます。

 (*^・^) なんか面白そうな展開になりそうね。

 (-.-)y- 賃金の中で大きなウエイトを持つ「基本給」の表が定まっていない
     なんてホント変な話ですが、とりあえず設計が簡単な諸手当だけを
     表にして、設計の難しい基本給は手つかず、というのが現状みたい
     ですね。

 (*^・^) 私の会社も、以前はそうだったわ。

 (-.-)y- それでは社員数30人位の企業で、基本給表が作成されている場合
     を考えてみましょう。基本給は「1つの表だけ」とは限りません。
     能力給、職務給、資格給、業績給、生活給など(名称はどうでもい
     いですけど)2つ以上を組み合わせることも多いですネ。

 (*^・^) 私の会社も、今はそうなってるわ。

 (-.-)y- さらに職務給表などを○○職用、××職用と複数に分けて作ること
     もあります。どんな組み合わせになるかは、それぞれの企業の組織
     機構や経営方針などによって決まってきます。

 (*^・^) ようするに、必要な基本給表は複数あっても良いのですね。

 (-.-)y- そうです。
     一方で、諸手当はなるべく少なくするのが時代の流れです。
     よく中小企業で7つも8つも諸手当表を持つ企業がありますが、そ
     のほとんどは調整的な手当なので、半分以下に減らせます。
     不必要な手当は賃金管理のガンになるので注意したいですネ。

 (*^・^) 基本給の賃金表を作れば、社員との架け橋は架かったことになるの
     ですね。

 (-.-)y- まだです。
     良い賃金表と悪い賃金表があるのです。
     それは、設計過程で決まってきます。

 (*^・^) 設計の時に、私もだいぶ絞られた思い出があるわ。
     ------------------------------------------------------------
     参考:人事のソナタ(全50話)
     ------------------------------------------------------------

 (-.-)y- まず、何かサンプル的なものを真似して作った賃金表は、最も悪い
     賃金表になっている危険性があります。それは、賃金水準、複数基
     本給表のウエイトバランス、基本給と諸手当のウエイトバランスな
     どが自社にまったくマッチしていないことが考えられます。

     意外と多いんですよ、このケース。

 (*^・^) ゼロベースで作るのが基本ですよね!

 (-.-)y- そのとおり。
     でも、自社独自に設計した賃金表であっても、社員の格づけが変て
     こりんな場合があります。現状賃金の分析をしないでいきなり賃金
     表を作ってしまったのです。

     建設業や製造業の現場では、設計図がなかったり、間違った設計図
     を見て工事・製造をすると大失敗をしますよね。それと同じです。 

 (*^・^) 手を抜いてはいけませんよねー。
     そういう私も、以前はそうだったかな。

 (-.-)y- [ヒョウカさんは、手を抜かなくてもダメだった気がするな]
     良い賃金表を持っていても、運用段階で失敗することがあります。
     例えば、一度作った賃金表を5年も10年も手を加えずに使ってい
     る場合は、ベースアップの仕組みがないのかもしれません。

 (*^・^) それはよく聞く話ね。
     賃金表が壊れて使い物にならなくなってしまうんですよね?

 (-.-)y- そのとおり。よく覚えてましたね。

 (*^・^) 記憶力のヒョウカさんと呼ばれてますから。

 (-.-)y- [ウソつけ]
     それと、制度構築後に、個人の1ヶ月給与総額の帳尻合わせのため
     に諸手当の一部が本来あるべき使い方ではなく調整手当と化してい
     るケースも時折見受けられます。
   
     これらの諸手当項目はカットの検討対象です。
     ゼロから賃金設計をやり直さないと修復できないことも。。。

 (*^・^) 今日は改めて賃金の大切さや管理のポイントが分かりました。

 (-.-)y- 賃金こそ会社と社員を結ぶ架け橋です。
     人事管理の仕組作りの中で最優先課題だと思いますヨ。
     決して先送りにはしないでくださいね。

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 下記は、賃金表の表種を説明するページです。
 → ここをクリック


┏━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◆┃間違いだらけの残業手当その1
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

 (*^・^) 残業にまつわるお話ってないですか?

 (-.-)y- いっぱいありますよー。
     それでは「間違いだらけの残業手当」ってテーマで思い出してみま
     しょうか。

 (*^・^) 単なる残業カットというお話だとつまらないわ。

 (-.-)y- では、そういうのは止めておきます。
     その企業では法律違反をしてると思っていないケースにしましょう。

 (*^・^) なんか凄いお話が出てきそうね。
     楽しみ、楽しみ!

 (-.-)y- [おっ、食い付いてきたな]
     今まで経験してきた中から、3つのパターンを紹介しましょう。
     まず1つ目は、残業手当を支給していないケースです。

 (*^・^) それって悪質じゃん。
     ぜんぜん法律違反になってますよー。 

 (-.-)y- でもね、その企業ではこういう言い分なのです。
     「わが社では、基本給の中に残業分が入ってるから」

 (*^・^) それって、おかしいわ。
     残業時間は月によって異なるし、人によっても異なるはずよ。

 (-.-)y- 良いところに気がつきましたね。
     それでは、まず「基本給に含まれる残業代(残業時間と時間単価で
     算出)」の1か月当たり標準設定金額を明確にしておきましょう。

 (*^・^) 手当込で30万円のお給料だったら、基本給のうち5万円が残業代と
     いうように?

 (-.-)y- そうです。
     その場合、5万円が何時間分の残業代になるかどうか、逆に言えば
     月○○時間の残業見合分を計算すると5万円になるということです。
     いわゆる定額残業手当です。

 (*^・^) 1万円単位では、ざっくりし過ぎてます?

 (-.-)y- そーですね。
     私は1円単位でいいと思いますよ。
     どうしても丸めたいなら千円単位まででしょうね。
     端数は、四捨五入ではなく切り上げになりますのでご注意ください。
     (残業手当の割増率が法律未満になってはならないため)

 (*^・^) はーい。
     基本給と残業手当は分けなければいけないことが分かりました。
     残業時間が同じでも、定額残業手当の金額は従業員によって異なる
     のですか?

 (-.-)y- もちろん!
     普通に計算した残業手当だって、従業員によって金額は違いますよ。
     それは残業計算の時間単価が異なるからです。

 (*^・^) なるほど。
     それでは、定額残業手当って、その月の残業が設定時間よりも多か
     ったり少なかったりしたら、どのように調整するのですか?

 (-.-)y- 設定時間を超える場合は、超えた分だけ残業手当を追加します。
     設定時間よりも少なかった場合は、そのまま定額残業手当を支給し
     ます。

 (*^・^) それってどんなメリットがあるのかしら。

 (-.-)y- 支給総額は、残業が少ない月でも総額はもとの給料と同じ金額です
     から、従業員にとって損した気にはなりません。
     企業にとっては、設定時間にもよりますが最小限のコストアップで
     済む可能性が高いため、この改善案なら受け入れ易いのです。

 (*^・^) なるほど。
     では2つ目のパターンは? 

 (-.-)y- 2つ目と3つ目は、次回お話しましょう。
  
 ====================================================================
 
 定額残業手当は、上乗型と逆算型があります。 
 逆算型は、修正基本給の算出が必要になりますし、実質的な賃金水準の低下
 となるため、最低賃金のチェックや対象者に同意を得ることをお忘れなく。

 『じんじ屋エール番外編 定額残業


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┃◆┃間違いだらけの残業手当その2
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━★

 前回のあらすじ

 間違いだらけの残業手当について、今まで経験してきた中から3つのパター
 ンを紹介しています。1つ目は、基本給の中に残業分が含まれるケースです。
 基本給に含まれる残業代は明確にしておかなければダメなので定額残業手当
 として別立にしておく必要があります。
 

 (*^・^) 今日は、前回のつづきですね。
     では2つ目のパターンは? 

 (-.-)y- 定額の残業手当は付いているのですが、ちゃんと計算した金額では
     なくて、2万円とか3万円という切りの良い金額を定めています。
     例えば、基本給30万円未満は2万円、30万円以上は3万円みたいに。

 (*^・^) べつに問題はないみたいだけど。
     ドコがいけないのですか?

 (-.-)y- 1つ目のパターンの「基本給の中に残業分が入ってる」と同じです。
     2万円や3万円で足りる月はいいですけどね。

 (*^・^) うーーーん、よく考えてみると、そうですね。
     それと、残業手当を正確に計算すると人によって不公平になりそう。
     このケースは、残業手当を普通に計算すればいいのでしょう?

 (-.-)y- それが一番ですが、そうできる企業ばかりではないのですよ。

 (*^・^) ふ〜ん。

 (-.-)y- 言い方は悪いですが、企業にとって賃金は最も大きなコストです。

 (*^・^) ほんと、嫌な言い方ね。

 (-.-)y- 支払うことができる賃金には限りがあるということです。
     急激な賃金増加は経営に大きな影響をもたらしますから、このケー
     スも基本給を見直して(ちゃんと計算した)定額残業手当を付ける
     ことがあります。

 (*^・^) そっかぁ、会社が潰れたら大変ですものね。
     
 (-.-)y- でもね、賃金、言い換えれば「人件費」はコストですが、「人」は
     経営資源の中核です。売り上げを伸ばしたり、経費削減をするのも
     人なのですよ。

 (*^・^) そう考えると、インセンティブの部分も大切よねぇ。
     そんな企業には、ぜひ人事制度を作って欲しいわ。

 (-.-)y- 最後に3つ目のパターンですが、残業単価を間違えて計算している
     ケースです。例えば、全員一律1000円とか。

 (*^・^) やっすーい、安すぎるぅぅぅ。
     低所得者の私だって、残業単価は1000円以上いくはずよ。

 (-.-)y- 3つ目のパターンの企業も、残業単価を正確に算出すると残業手当
     の金額は大幅にアップしてしまいます。

 (*^・^) 間違ってるんだから、しょうがないじゃない。

 (-.-)y- でもね、2つ目のパターンもそうですが、それらの企業では今まで
     間違えたやり方はしていないと思っていたのですよ。
     他社のやり方を真似て、それが法律違反だなんて夢にも思っていな
     かったのですから。

 (*^・^) なんか哀れね。

 (-.-)y- [ヒョウカさんに言われたくないと思うよ]
     だからこのようなケースも、基本給の見直しを前提とする定額残業
     手当によって対応せざるを得ないコトがあるんです。


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┃◆┃賃金体系を変更したら、アレレ
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 (*^・^) ねえねえ、私の勤務する会社みたいに賃金体系の変更を自社で行っ
     ている企業って多いのですか?

 (-.-)y- どれくらいの割合かわかりませんが、けっこうあると思いますよ。

 (*^・^) コンサルタント・エックスさんが支援した企業の中に何か面白い話
     があるんじゃない!? 

 (-.-)y- では、思い出してみましょう。
     以前、ある会社が労働基準監督署から残業未払いについて是正勧告
     を受けたのですが、この会社ではもともと残業代を一銭も支払って
     いなかったのです。

 (*^・^) 100%サービス残業にしちゃってたのね。
     ある意味、凄いわ!

 (-.-)y- この会社の経営者は、このように考えていました。

     残業をするのは能力が低いからで、そんな社員に余計な給料を払う
     のはおかしい。儲かっているときは、成績の良い社員に多くの賞与
     を支給したほうがいい。

 (*^・^) 一理あるわ。
     でも、法律違反よ。

 (-.-)y- そうですね。
     今回の是正勧告は、改善するための良い機会でした。
     その対応策として、総支給額を変えずに、新たに月○○時間の定額
     残業代を組み込みました。これなら賞与の予算も減りません。

 (*^・^) 最近のコンサルタント・エックスさんの得意技ですよねー。

 (-.-)y- そんなことはありませんけど・・・。
     以前は定額残業制なんてできるだけ採用しないほうがいいと考えて
     いましたから。

     しかし、他の方法では人件費が上がってしまい、結局サービス残業
     になってしまいます。

 (*^・^) 他の方法では一時しのぎにしかならないということね。

 (-.-)y- まあ、そういう会社もあるということです。

 (*^・^) ふ〜ん。

 (-.-)y- それから1年半ほど経ち、その会社では賃金体系を変更しました。
     等級制度を採用し、各手当も一新しました。

 (*^・^) 法律面をクリアして、次はやる気の出る賃金制度を導入したのね。

 (-.-)y- のはずだったのですが・・・。
     その内容を確認したら、アレレ、定額残業代が消えちゃってました。
     よく見ると、けっこうな金額の営業手当が付いているじゃありませ
     んか。等級毎に○万○千円と決めているようでした。

     ※正社員の大半が営業職の会社です

 (*^・^) もしかして、営業手当の中に定額残業代を含めちゃいました?

 (-.-)y- はい、これはマズイです。
     せっかく賃金体系を変更して・・・、等級制度も組み込んで・・・、
     ああそれなのに残業に関して失敗してしまいました。

     新賃金体系は、もう社員に発表しちゃったし。。。

 (*^・^) 営業手当は一般的に残業代みたいなものでしょ。
     いったい何が失敗なの?
     
 (-.-)y- 失敗は2つあります。
     1つ目は、営業手当の金額設定です。
 
     定額残業代を計算して差し引いた残りを「正味の営業手当」とすれ
     ば法的にはクリアできます。
     しかし、「正味の営業手当」が各社員マチマチとなりますので不公
     平感が生じます。
     例えば、営業手当が同じ金額(50,000円)の2人がいます。
     ------------------------------------------------------------
     Aくん:定額残業相当額40,000円、正味の営業手当10,000円
     Bさん:定額残業相当額35,000円、正味の営業手当15,000円
     ------------------------------------------------------------
     営業手当の中に含まれる定額残業分は、個々の社員で異なります。
     たとえ同じ等級でも、等級以外の要素で決定される賃金が異なりま
     すからね。

 (*^・^) 正味の営業手当がこんなに違うなんてありえないわっ!

 (-.-)y- この不公平感をなくすためには・・・
     ------------------------------------------------------------
     Aくん:定額残業相当額40,000円、正味の営業手当15,000円
     Bさん:定額残業相当額35,000円、正味の営業手当15,000円
     ------------------------------------------------------------
     アレレ、Aくんの賃金が5,000円増えてしまいましたヨ。

 (*^・^) [そんな計算、小学生でもわかるわよ]
     そうね。 

 (-.-)y- 2つ目の失敗は、専門家の確認時期です。
     ------------------------------------------------------------
     自社設計にチャレンジする企業が専門家のチェックを希望する場合
     1.賃金設計前の青写真の段階(できればこの段階で)
     2.賃金設計の途中     (遅くともこの段階で)
     3.賃金設計完了後     (大幅な手直しも覚悟の上で)
     4.新賃金体系を社員に発表後(論外)
     ------------------------------------------------------------
     今回のケースでは、設計段階で定額残業代を考慮しておかないと後
     の祭りになってしまいます。

 (*^・^) お祭りはもう終わっちゃったけど、今週は花火大会があるの。
     コンサルタント・エックスさんも一緒にいきませんか?

 (-.-)y- 蚊に刺されるからヤダ。

     【豆知識】O型は蚊に刺されやすい(O>B>AB>A)

 
 本日の関連ツール
 ★賃金体系PRO
 ★定額残業


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┃◆┃残業手当を含む○○手当の是非
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 本日のテーマは「Vol.255◆賃金体系を変更したら、アレレ」の続編です。

 (*^・^) なぜアタマを抱えているのですか?

 (-.-)y- 「みなし残業手当」という名称で定額の残業手当をつけていた会社
     が、その手当を無くして、残業手当の一部を「営業手当」とか「技
     述手当」の中に含んでいることにしてしまったのです。

 (*^・^) 何かまずいのですか?
     たしか月○○時間の定額残業代が含まれていることを明確にしてお
     けば問題なかったと思いますけど。

 (-.-)y- それなら法的には問題ありませんね。
     でも思い出してください。他の会社で、こんなことがありましたよ。
 
     ──────────────────────────────
     定額残業代を計算して差し引いた残りを「正味の営業手当」とすれ
     ば法的にはクリアできます。
     しかし、「正味の営業手当」が各社員マチマチとなりますので不公
     平感が生じます。
     例えば、営業手当が同じ金額(50,000円)の2人がいます。
     ------------------------------------------------------------
     Aくん:定額残業相当額40,000円、正味の営業手当10,000円
     Bさん:定額残業相当額35,000円、正味の営業手当15,000円
     ------------------------------------------------------------
     営業手当の中に含まれる定額残業分は、個々の社員で異なります。
     たとえ同じ等級でも、等級以外の要素で決定される賃金が異なりま
     すからね。

     この不公平感をなくすためには・・・
     ------------------------------------------------------------
     Aくん:定額残業相当額40,000円、正味の営業手当15,000円
     Bさん:定額残業相当額35,000円、正味の営業手当15,000円
     ------------------------------------------------------------
     アレレ、Aくんの賃金が5,000円増えてしまいましたヨ。
     ──────────────────────────────

 (*^・^) そうだったわ。
     不公平はよくないわよね。

 (-.-)y- でも今回アタマを抱えている理由は別にあるのですよ。

 (*^・^) [前置きが長すぎるわ]
     ではどんな理由が? 

 (-.-)y- もう一度言いますが、今回アタマを抱える会社は定額の残業手当に
     なっていたのに「営業手当」や「技術手当」の中に残業手当を含む
     やり方に変えてしまったのです。

 (*^・^) だから不公平なんでしょ?

 (-.-)y- この際、不公平なことは百歩譲ったとしましょう。

 (*^・^) [譲っちゃうのか]
     もっと大変なことが? 

 (-.-)y- それ以前の問題です。
     最低賃金をクリアできるかグレーな社員がでてきたのです。

 (*^・^) グレー?
     てことは、クリアしてるかもしれないけど分かんないということね。

 (-.-)y- この会社、以前は正社員に月25時間の定額残業代をつけていました。
     賃金体系を変えてからは「営業手当」や「技術手当」の中に残業手
     当が含まれるわけですが、それが何時間分なのかは明らかにしてい
     ません。

 (*^・^) ダメじゃん。

 (-.-)y- そう、ダメです。
     今までのように月25時間分の定額残業手当が含まれるとしますと、
     新しく入った社員の時間単価を計算したら最低賃金未満になってし
     まいました。

 (*^・^) ダメダメじゃん。

 (-.-)y- そう、ダメダメです。これでは法律違反ですからね。
     でも、その会社では、最近は残業はほとんど無いから月10時間位の
     定額残業代が含まれると考えればいい、と楽観しています。

 (*^・^) 残業が月10時間分なら最低賃金はクリアできるの?

 (-.-)y- はい、それなら楽勝です。

 (*^・^) なら問題解決じゃない!

 (-.-)y- ヒョウカさん、賃金問題ってそんな単純じゃないのですよ。

 (*^・^) はあ、どして?

 (-.-)y- まず、「営業手当」や「技術手当」に含まれる定額残業代を10時間
     分に設定するとします。今は残業が少ないからいいですけど、今後
     残業が増えてくると10時間超の残業代は追加支給になりますからね。

 (*^・^) とりあえずOKなら、今はそれでいいんじゃない。
     不公平なことは百歩譲っちゃったのだし。

 (-.-)y- [それは話の進行上のことなのだが]
     不公平なことよりも法律違反のほうが緊急性が高いってことですよ。
     ここで安易に月25時間の定額残業代を10時間にしてしまったら、後
     でまた25時間に増やすことは難しくなります。

 (*^・^) それ知ってる。不利益変更っていうのよね。
     うーん、その会社では、そのときにまた賃金体系を変えちゃいそう。
     ますますヘンテコリンになってしまうわ。

 (-.-)y- でしょ、やはり定額残業代は別個に定めておかないと都合が悪いっ
     てことです。

     もともとは基本給の中に定額残業代が含まれていたのを「みなし残
     業手当」として独立させました。ですから、今のやり方は以前の形
     に逆戻りしてしまったということです。

 (*^・^) それでは「みなし残業手当」ふっかーつ、よね!!

 (-.-)y- やれやれ、このような会社は、早く本格的な仕組みを導入した方が
いいです。そうすれば、ルールに沿って運用せざるを得ませんから。

 ====================================================================
 手当の一部がいつの間にか「調整手当」と化してしまうことがあります。
 本例では「正味の営業手当や技術手当」が各社員マチマチになり、もはや本
 来の手当の目的を失っています。
 賃金体系の変更には不利益変更を伴う場合もありますが、そこは社員の承諾
 を得て断行しなければ、どんどん酷い状態になってしまう危険性があります。
 それも知らず知らずの内に・・・恐っ
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